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―――――――清澄高校麻雀部部室

咲「それって、防御型とか攻撃型とか、そういう観点からチームを組むって事ですか?」

久「いや、詳しくは分からないのよ。インハイの選手を集めてやるテレビの企画らしいけど」

咲「そうですか……それってやっぱり東京でやるんですよね?」

久「そうね。招待状に書いてある住所は東京だわ」

咲「部長達も来てくれるんですよね?」

久「付添いの人の分のチケットは入ってないし、全員で応援に行くのはちょっと難しいわね」

咲「ちゃんとたどり着けるかな……」

久「大丈夫よ!清澄からはあなたと和が選手に選ばれてる」

バターン

和「咲さんと東京旅行に行けるってホントですか!?」

久「和……旅行じゃなくて麻雀大会よ?」

和「同じようなものです!」

久「はぁ、和に任せて大丈夫かしら」

和「安心してください咲さん!東京まで私がバッチリエスコートします!」

咲「う、うん。頼りにしてるよ」




―――――――都内某旅館

咲「うわぁ……なんだかすごい旅館だね」

和「そうですね。インハイの時に泊まった宿泊所とは大違いです」

咲「テレビってやっぱりすごいんだね」

和「私は咲さんが居れば馬小屋でも構いませんけどね」

咲「さすがにそれはわたしがちょっと嫌かな……」


「ようこそいらっしゃいませ」

咲「えっと、こちらの招待状と宿泊券を頂いたんですけど」

「はい。宮永様は萩の間。原村様は霧の間ですね」

和「一緒の部屋じゃないんですか!?」

「そのようにお伺いしております」

和「……変更は効かないんですか?」

「申し訳ありませんが」

和「いや!そんな……そんなオカルト……」

咲「和ちゃん、どうせまたすぐに会えるよ。だからお部屋に行こう?」

和「……!そうですよね。夜ごはんは一緒に食べましょうね」

咲「うん、とりあえず、荷物を置きにいこうよ」

和「はい!」




咲「じゃ、またあとでね」

和「はい」

和(一人部屋なのでしょうか……)ガチャ


玄「あれ、和ちゃん?」

和「玄さんじゃないですか」

玄「一緒のチームだったんだね!」

和「そうなんですかね?」

玄「届いた資料には同じチームの人との四人部屋って書いてあったよ」

和「そんな資料貰った覚えがないんですが……部長も困った人ですね」

玄「とりあえず、今日は自由行動みたいだよ」

和「そうなんですか、では私は咲さんと食事の予定があるので出かけてきますね」

玄「ずいぶん性急だね……」

和「冗談ですよ。たまには玄さんとお話しするのもいいかもしれませんね」

玄「そうだねえ、私も和ちゃんのおもちをもちもち……」ワキワキ

和「触らないでください」ビシィ

玄「あうぅ」

和「そういえば、阿知賀は玄さん一人ですか?」

玄「ううん、うちは全員に招待状が来たけど、灼ちゃんはお店が休めないからって断ったよ」

和「全員にですか。すごいですね」

玄「すごいのかどうかは分からないけどね……」

玄「白糸台の人とかも、全員選ばれてそうだもんね」

和「咲さんは今どうしてるでしょうか……」




―――――――萩の間


咲「失礼しまーす」ガチャ


咲「誰もいないのかな……?」

小蒔「Zzz……」

咲「わ!永水の神代さんだ」

小蒔「むにゃ……」

小蒔「おはようございます、霞ちゃん」

咲(神代さん、寝ぼけてるみたいだよ)

咲「わ、わたしは鹿児島のお姉さんじゃないよ……」

小蒔「ほにゃ?」

小蒔「あっ、し、失礼しました!長旅で疲れていたものですから……」

咲「いえ、良いんですけど」

小蒔「えーっと、あ!霞ちゃんと戦った方ですね!」

咲「あっ、はい。宮永咲と言います」

小蒔「神代小蒔です」

小蒔「ということは、宮永さんとは同じチームなんですね」

咲「そうかもしれませんね」

小蒔「きっとそうですよ!霞ちゃんにもらった紙にそう書いてありましたから」

咲(部長……)

咲「そういえば、ほかの人はいないんですか?」

小蒔「いえ、もうあちらにいらっしゃってますよ」ビシッ


咲「あれは……?」

小蒔「こたつです」エッヘン

咲「そ、そうですね」


宥「Zzz……………」

白望「Zzz…………」


咲(あ、あんまり静かだから誰もいないのかと思った……)


咲「そういえば、神代さんは一人で来たんですか?」

小蒔「小蒔でいいですよ。……ここへは、霞ちゃんと一緒です」

咲「そうなんだ」



―――――――月の間


由暉子「………」

尭深「…………」カチャカチャ

漫「……………」

霞「……………」

漫(コンセプト別チーム戦っちゅうのに選ばれたーっと喜んどったら……)

漫(どんだけわかりやすいんや、このチームのコンセプト)

漫(チチでかいだけで選抜されるとかなんか嫌やな)


尭深「お茶が入りました……」コト

漫「あっ、これはえらいすんません」

霞「ああ、そういえば途中の駅でカステラを買ってきたんでした。せっかくですし皆さんでいただきましょうか」

漫「ええですね!うちカステラ大好物なんや」

由暉子「わたしは紅茶のほうが好みなんですが」

漫(この子は空気が読めない、と)

尭深「紅茶もありますよ」

漫(この子は用意がいい、と)

霞「はい、どうぞ」

漫(この人オカンみたいやなー)

由暉子「天にまします我らが父よ……」

漫(やっぱりこの子は変な子、と)

漫(絹ちゃんはうまくやってるやろか……)



―――――――鷺の間

セーラ「チーム漢気ィーーーー……」

セーラ「ファイト!」

誠子「おー!」
穏乃「おー!」
絹恵「おー!」

セーラ「いやー、やっぱ円陣組むと気合入るなァ」

穏乃「チーム戦一致団結!って感じがしますよね!」

誠子「でも、なんで『チーム漢気』なんですか?」

セーラ「そらもうただのノリやろ」

絹恵「なんやこのまま本来のチーム名無視してチーム漢気で通しそうな気するけどね」

セーラ「おっ!それいいやん!選手入場の時に司会のマイク奪ってチーム漢気でーすって入場しようや!」

穏乃「えぐっちゃん先輩冴えてますよー」

セーラ「そやろー天才やろー?」

誠子「いいのか……?」



―――――――波の間

智葉「……………」

菫「………………」

哩「………………」

竜華「なーなー、みんなもっとお喋りしようやー」

智葉「とは言っても」

哩「これまでの3年間顔つきあわせてきとる奴ばっかやし、今更話すこともないやろ」

竜華「えー、そんなんつまらんやんかー」

竜華「今まで一緒って、敵としてやん!」

菫「まぁ、学校が違うのだから仕方ないだろう」

竜華「せっかく一緒のチームで戦えるんやし、仲良うしようやー」

哩「そんなら、親睦を深めるためにひとつゲームでもすっか」

智葉(以外と乗り気なんだなコイツ……)

哩「題してチーム名当てゲーム」

菫「そのまんまだな……」

哩「いかんと?」

菫「いや、なんでもない」

竜華「どういうことー?」

哩「今回のルールは?」

智葉「コンセプトチーム戦、というものだと聞いてるが」

哩「そう。つまり、この4人は何らかの共通点をもとに選出されたチームっちゅうことよ」

哩「その共通点を考え見つけ出す……そうすれば、このチームとしての方向性が見えてくるやろ」

智葉「なるほどな。己を知れば百戦危うからず」

竜華「要するに、共通の話題見つけてお話ししよーってことやね?」

菫「まあ、間違ってはいないな」

智葉「ふむ……」

竜華「あーっ!はいはいわかったー!」

哩「ほい、清水谷」

竜華「ちょっと思ったんやけど、うちらみんなクールビューティーやんな。それちゃう?」

菫(バカなのか?)

哩「やり直し」

竜華「えーっ」

菫「いざ真面目に考えてみると、良くわからんな」

竜華「あっ、わかった。うちらみんな麻雀打ちやん」

智葉(頭痛くなってきた)

哩「……そもそも、大会の参加資格がインハイ出場者だからな」

竜華「そっかー」

竜華「うーん、じゃあこういうのはどう?うち怜のことが大好きなんよ。『恋する乙女チーム』やったりせえへん?」

哩(……!)

哩「な、なるほど……一理あるかもしれんね」

智葉「違うな」ズバァ

智葉「一つだけ思い当たる節がある」

菫(頼む、辻垣内。まともな意見出してくれ……)

智葉「弘世、お前は部長だよな?白水も」

菫「あ、ああ……」

哩「そうやね」

智葉「で……清水谷も、だな?確か」

竜華「そやでー……あ!」

智葉「……」コクリ

竜華「みんな名門校の部長さんてことやな!」

智葉「一言余計な文言が入ったが、まあ部長連合とみて差し支えないだろう」

菫「なるほど」

哩「おおー……」

竜華「じゃあ、ナイス解答出した辻垣内さんが部長総代っちゅうことで」

智葉「なっ、莫迦か。恥ずかしいだろう」

竜華「ぶちょうそーだい!ぶちょうそーだい!」

哩「そーだい……そーだい……」ニヤニヤ

智葉「やっ……やめろ……」

菫(照れてる辻垣内なんて初めて見たな)



―――――――雁の間


淡「ひーまーだー!」

姫子「あーもう、うっさい!」

淡「だってー、鶴姫が構ってくれないのが悪いんじゃーん」

姫子「別に、私じゃなくてもいいやろ……ほら、おなじ一年の新子と遊んできんしゃい」

淡「やだよー、あいつ穏乃のバカと一緒の学校だし、バカがうつっちゃう」

憧「だれが馬鹿ですって!?」イラッ

淡「きゃー助けて鶴姫ー」

姫子「あぁ、ほんとにもう……」

豊音「み、みんな、仲良くしようよー」


憧「あーあ、付き合ってらんない。決着は卓でつけましょ!」

淡「いいよ♪じゃあ、ロビーの卓で待ってるから!」

憧「せいぜいまともなおヒキを連れてくることね」

淡「はいはい。大きな口叩けるのも今のうちだからね」バタン

憧「それはこっちのセリフよ!」


豊音「行っちゃった……」

姫子「まぁ、あん子らはほっておいて……いい時間やし、ごはんでも食べに行きません?」

豊音「うん、そうするよー」




―――――――ロビー


憧「あ!来た来た」

玄「ロビーに来てって、何するの憧ちゃん?」

淡「期待してますからね?亦野先パイ♪」

誠子「どうせ明日もやるのに、麻雀やるんだ……」

淡「あのおバカ高校の奴らをぼっこぼこにするためですよ」

憧「言ってなさい」


姫子「あれ、ぶちょー」

哩「おお、姫子か」

姫子「これからお食事ですか?」

哩「まぁ、チームの懇親会というか、な」

姫子「そうですかー、それじゃあご一緒できませんね」

哩「お前もたまには私と離れて、自分のチームと仲良くせないかんぞ」

姫子「あはははは……」

豊音「鶴田さーん、用意できたよー」

エイスリン「オマタセデシタ」

姫子「あ、はーい」

姫子「それじゃっ」

哩「ああ」


和「玄さんは卓に引っ張られていっちゃいましたね……」

憩「止めても聞きそうにないし、諦めたほうがいいですよーぅ」

和「私たちもエイスリンさんの相伴にあずかる事にしましょうか」

憩「それもそうやね」

和「それにしても、咲さん遅いですね……」


咲「お待たせー」

小蒔「すみませんっ、遅れました」

和「いえ、いいんですよ咲さん」

咲「ごめんね。せっかく待ってもらったんだけど、わたしたちは持ち帰りできる物にしようかなって」

和「そ、そんな……今日のためにせっかくおいしいお店を調べたのに」

咲「同室の人たちが寝ちゃってて……小蒔さんが何か買ってきてあげようって」

小蒔「ということなんです」


穏乃「あっ、じゃあ私も二人に付いていくよ」

和「そうですか?」

穏乃「うん、先輩たちの分を買い出しに行くところだからね」

和「ああ、ほかはみんな先輩だったんですね……大変ですね」

穏乃「いや、みんないい人ばっかりだよ」

和「じゃあ、外食組はこの5人ですかね」

憩「唯一の東京在住経験者やし、案内はまっかせたでーぇ」

和「いえ、住んでたのはかなり前のことなんですが……」

豊音「ちょー楽しみだよー」

エイスリン「オナカスイタ!」

姫子「とりあえず、頼りはあんただけやけんね」

和「はぁ、なんでこんなプレッシャーのかかる事態になったんでしょうか……」




淡「あー!ありえないありえないありえない!」

憧「ふふん、だから言ったでしょ」

淡「カンしても裏ドラが乗らないとかありえないー!」

憧「いや、毎回ダブリーのほうが有り得ないんだけど」

淡「阿知賀はどいつもこいつもわたしにイジワルする奴ばっかりー!」

憧「自業自得ね」

淡「ちぇっ、まぁ一応勝った訳だし、わたしのことを淡さまと呼ぶ許可をあげるよ」

憧「誰も呼ばないわよ!」

淡「バーカ!憧のブサイクー!」

憧「誰が不細工ですってぇ!?」


姫子「ご飯食べて戻ってきたら解決しとーかと思ったっちゃけど……」

豊音「あはは、ちょー悪化してるよー」




玄「結局ご飯食べ損ねたのです……」

誠子「そろそろ阿知賀の子が買い出しから戻ってくるだろうし、こっちの部屋で一緒に食べればいいんじゃないか?」

玄「それではせっかくの厚意ですのでありがたく頂戴いたします!」

誠子(現金な子だな……)



和「ふぅ、疲れましたね……」

憩「でもまぁ、下調べの甲斐あって結構おいしかったで?」

和「まぁ、そういっていただけるとありがたいです」

エイスリン「ノドカ、モノシリ?」

和「そんなこともないと思いますけど」

和「明日は早いですし、早めに休むようにしましょうか」

憩「そうやね、温泉は明日に後回しやねー」

和「今日は部屋の備え付けのバスルームで我慢ですね」

憩「エイスリンちゃん、お先に使っていいですよーぅ」

エイスリン「アリガトウゴザイマス」



咲「そろそろ二人とも起きたかな?」

小蒔「たぶんそうだと思いますけど……」ガチャ


宥「あ、おかえりなさぁい」

白望「……ダルい」

咲「おはようございます」

宥「うん、おはよう♪」

咲「えーっと、自己紹介したほうがいいですよね」

白望「知ってるから大丈夫……」

宥「宮永咲さんも、神代小蒔さんも知ってるから大丈夫だよ」

宥「わたしは松実宥、玄ちゃんのお姉さんだよ」

小蒔(玄ちゃんというのはどなたでしょうか……)

咲「あ、はい。そうですか」

白望「おなかすいた……」

小蒔「ということもあろうかと、いろいろ買ってきましたよ」エッヘン

咲「適当に買ってきたものばかりですけど、夜ご飯にしましょう」

白望「ありがと……」

宥「おいしいものいっぱ~い♪」

小蒔「そういえば、明日戦う方たちなのに今日はいろいろ仲良くなってしまいましたね」

咲「テレビの企画だからいいんじゃないかな……」

白望「優勝したら賞品もあるみたいだけどね」

宥「温泉旅行がいいな~」

咲「ま、まぁできる限りでやりましょう」

小蒔「せっかくですから、目指すは優勝です!」

咲「うん、そうだね――――――」


咲「頑張ろう!」


そのうち後編へ続きます。
長くない感じで、と言ったな。あれは嘘だ