―――――――慕の家


こーすけ「あーん?」ギロリ

閑無「おーん?」ギロリ

こーすけ「いいか?ちびっこ」

閑無「んだよダメ男」

こーすけ「お前と慕の関係はなんだ?」

閑無「友達……だろ」

こーすけ「じゃあ、俺と慕の関係は?」

閑無「さっき自分で姪って言ってただろ」

こーすけ「ふんふむ、それじゃあそれぞれの字を紙に書いてみる」カキカキ


【姪 友達】


閑無「……で?」

こーすけ「そして、ここに一文字加える」


【姪 友達 嫁】


閑無「これがなんだっていうんだ?」

こーすけ「嫁、と姪、という字は全体の50%が一致する!つまり慕はもう半分俺の嫁って事だ」

閑無「はあああああああああ!?」

こーすけ「ふふん、自分の立場の脆さが分かったか?」

閑無「ちっ……じゃあこうするわ」

閑無「おい慕!ちょっとこっちこい!」

慕「う……うん」

こーすけ「何してんだ?」

閑無「今の状況を漢字にすると……こうだろ!」


【 嫐 】


こーすけ「なんでこんな漢字知ってんだよ」

閑無「え?お母さんが持ってた本に書いてあった」

こーすけ「情操教育に悪いなぁ……」

閑無「は?これって男の人と女の人が交互に手を繋いでるフォークダンスを表した字じゃないのか?」

こーすけ「小学生らしい可愛い発想してんな」

【 嫐嬲嫐 】

閑無「ほら、それっぽいだろ?」

閑無「ともかく、これで【嫁】とは66%一致!わたしの勝ちだ!」

こーすけ「どっちかっていうと、それは俺のほうじゃないのか?」

こーすけ「しかも、手を放したら終わっちゃうぞ?」

閑無「んなっ……ぐぬぬぬぬぬ……」

閑無「慕!慕はどっちが正しいと思う!?」

慕「え、えっと……どっちも間違ってるかな……」


閑無「がるるるるるるる」

こーすけ「はい、どうどう」

慕「とりあえず、お夕飯にしようよ」

閑無「そうだな!」

こーすけ「変わり身はえーな」

慕「今日のメニューは、トマトと魚介たっぷりのペスカトーレだよ」


閑無「」
こーすけ「」


こーすけ「形がないとはいえ、それでもトマトはきっついな……」

閑無「わたしも、まだエビは微妙にダメだ……」

こーすけ「胃袋を握られちまってると辛いな」

閑無「慕が居なかったらわたしたち二人とも飢え死にするほかないもんな……」

慕(ダメだねこの二人、わたしがしっかりしないと)



慕「今日も泊まっていくんでしょ?」

閑無「ん」

こーすけ「それにしても、娘が外泊とか心配しないのか?」

閑無「まぁ、一応事情は話してあるから」

こーすけ「テキトーな母親だな」

閑無「お母さんを悪く言うな……なんて言ってやるほどのもんじゃないね」

閑無「わたしもちょっとムカついてるし」

こーすけ「そういうもんかね」

閑無「こんなダメ男でも、子供が起きてる間に帰ってくるだけマシなのかもな」

こーすけ「都会だったら、お前みたいなんがグレるんだろうな」

閑無「そうかもな……こんなところじゃ、グレようがないよ」

慕「お母さん、島根にはパソコンがないんだよって、いっつも笑いながら言ってた」

閑無「島根にもパソコンはあるよ!」

慕「あと、砂ばっかりで、巨大な人食いミミズが住んでるって」

閑無「……そりゃ、鳥取だよ……」

こーすけ「居ねーよ!鳥取の人に謝れよ!……って、謝るべきなのはアネキか……」






―――――――湯町小学校 1-1教室


閑無「しーのっ」

慕「あ、かんなちゃん」

閑無「今日は、昨日田舎をバカにしたお前に田舎の素晴らしさを教えてやる!」

慕「ほんと?」

閑無「つーわけで、今日は麻雀は休みだ」

慕「そうなんだ……」

閑無「落ち込むなよ!これからみんなでお菓子を買いに行くぞ」

慕「ふーん……まあ、楽しそうだね」

閑無「準備できたら、昇降口に来いよ」

慕「うん!」




慕「おまたせ」

閑無「おっし、これで揃ったな」

慕「どこに買いに行くの?スーパー?」

閑無「スーパーなんて、どこにでもあるだろ」

「近くに駄菓子屋さんがあるんだよ」

慕「そうなんだ」

閑無「慕、お前行ったことないだろ?」

慕「うーん、横浜に居た時は見たことないかなぁ」

閑無「ふふん、やっぱりな!」

慕「お母さんから話を聞いたことはあるんだけどね」

「じゃあ、駄菓子屋デビューだね」

慕「そうだね!」

閑無「早くいかねーと、目ぼしいものが無くなるぞ」

「いや、それは無いと思う……」




慕「わぁ、これが駄菓子屋さん?」

閑無「そうそう、一つ一つが安いからいろんなものが買えるんだ」

慕「この袋はなに?」

閑無「そりゃ、粉ジュースだよ」

慕「これは、折ると光る奴かな?」

閑無「サイリウムじゃねーよ棒状のこんにゃくゼリーだよ」

慕「見て見てかんなちゃん!金の延べ棒が売ってる」

閑無「ありゃチョコだよ!」


閑無「慕の奴、そうとうはしゃいでんな」

「初めて見たんだろうね……」

「都会にはほんとに駄菓子屋ないんだね……」


慕「えっと、これください」

閑無「……いくら安くても、それは」

「全部で560円だよ」


慕「………しまった!」





閑無「しっかしまぁ、慕があんなにはしゃぐとこ初めて見た」バリボリ

慕「はずかしい……」ポリポリ

閑無「いっぱい買って食べながら帰るつもりではあったんだけどな」

慕「でも、楽しかった」

閑無「まぁ、そうだな」

慕「そういえばかんなちゃん、何か本買ってたよね」

閑無「ああ、雑誌も売ってるしな」

慕「何買ったの?」

閑無「な、なんでもいいだろ!」

閑無「んじゃ、私こっちだから」

慕「あれ、今日は寄って行かないの?」

閑無「んー、まぁ、ちょっとな」

慕「そう?じゃあ、また明日」

閑無「ああ、じゃあな」

慕「………?」




―――――――閑無の家


閑無「とりあえず、慕並み……とはいかなくても、少しは料理できるようになりたいしな」


閑無「卵焼き……オムレツ……んー」


閑無「スクランブルエッグ………これでいいか、まずは」


閑無「塩、こんなもんか?」


閑無「で、あとはベーコンも焼いて……」


閑無「うん、まぁ、料理っぽい」



閑無「………いただきます」ドキドキ


閑無「……しょっぱ」



閑無「今日は、ふりかけご飯でいいか」


閑無「子供をほったらかしにするダメ母はしょっぱいスクランブルエッグでも食べときゃいいんだ」


閑無「…………」




―――――――翌朝


ジリリリリリリリリリ


閑無「んー、朝か……」


【かんなへ。 卵焼き美味しかったです。今日は、早く帰れそうだから一緒に食事にでも行きましょう。まっすぐ帰っておいで】


閑無「……料理ってのも、悪くないかもね」


閑無「慕にはお礼、言わなくっちゃなあ」





閑無「し~のっ」

慕「あ、これから多目的室?」

閑無「いや、悪いけど今日はわたしパスだ」

慕「えー?」

閑無「んでこれ、いつものお礼!」

慕「なんだかかんなちゃん、嬉しそうだね」

閑無「あ、わかる?わかっちゃう?」

慕「でも学校にお菓子持ってきて、怒られるよ?」

閑無「いいからいいから!取っとけって」

慕「あ、うん」

閑無「じゃ、用事あるから。また明日なー」

慕「行っちゃった……」


「白築さん?」

慕「はひっ!?」

「どうして学校にお菓子を持ってきてるのかな?」

慕「えっあっ、これは」

「とりあえず、職員室においで?」


慕「もう、かんなちゃんのバカー!」




カン


慕閑が好きすぎて困る……
なんだかまだ続くような気がするのですが、小学生のうちから百合はいかんぞ!非生産的な!ということで
シノハユが高校生編に突入するまではしのちゃーとかんなたそはほのぼのSSで行きたいと思う。きっと。