―――――――駅前の屋台

 

「おう、おかえり嬢ちゃん。インターハイ優勝おめでとう」

優希「当然だじぇ」

「ところで、今日東京から戻りだろ?他の子たちはどうしたんだ?」

優希「みんななら、まだ龍門渕でパーティーやってるじょ」


「ありゃ?じゃあどうして嬢ちゃんだけ」

優希「それがな、パーティーで用意されたタコスを全部ノッポが食べちゃったんだ」

「そうかい、そりゃ残念だったな」

優希「うむ。タコスあるところ我あり。逆に言えば、タコスの無いところに用は無いのだ」

優希「ところで親父、例のブツは用意してあるのか?」

「もちろんよ!」

優希「おおー、だったらさっそくひとつ貰うじぇ」

「あいよ、ちょっと待ってな」

優希「……でも、良かったのか?採算とか、合わないんじゃないか?」

「いや、まあ……確かにそうそう頼む奴なんか、居ないだろうがな」

「有り体に言えば、こないだのお前さんの食べっぷりに惚れたのさ」

優希「ほ、惚れただと!?親父、その歳でわたしに手を出したら確実にお縄だじょ」

「いや、これは言葉の綾でだな」

優希「冗談に決まってるじぇ」

「……そうか」

「ほいよ、お待ち」

優希「こ、これがタコスラーメン……!」



優希「って、タコスがまるっとラーメンに入ってるだけだじょ」

「え、違うのか?」

優希「違うに決まってるじぇ、バカもの!」

優希「もっとこう、ラーメンとタコスが高次元で融合した、それはそれはファンタスティックなのをだな……」

「そんなの、できるのか?」

優希「うーむ、タコスの味しかしない。味の混一色って感じだじぇ」

優希「生地もべっちゃべちゃで、イマイチ!」

「そうか、残念だ」

優希「仕方ないから、今日のところはもう一杯普通のラーメンを頼むじぇ」

「あいよ」

優希「だが、飽くなき追求によってこそ真のタコスラーメンは誕生するのだ。これからも精進するんだじぇ」

「まあ、考えておくよ」



―――――――3日後

優希「マズい!」

「そうか」




―――――――1週間後

優希「まだマズい!」

「うーん」




―――――――2週間後

優希「微妙にマズい!」

「えー」



―――――――1か月後

優希「進歩してないじぇ!」

「」


優希「はぁ、はぁ……」

優希「結構長い事食ってるけど、まだまだ満足できる出来ではないな」

(いいお客さんだ)

優希「ここ1か月でのタコスラーメンの売れ行きはどうだ?」

「嬢ちゃんのを除くと、4杯しか売れてないな」

優希「……親父、もう諦めてタコス屋になったらいいじぇ」

「いや、普通のラーメンはそれなりに売れてるんだが」

優希「くっ、仕方ないな。これよりタコスラーメンの普及のための最終兵器を呼んでくるじぇ」

「えっ?」

優希「ちょっと待ってろー!」

「…………」





優希「はぁ、はぁ……お待たせしたじょ」


優希「ラーメン三銃士を連れてきたじぇ」



優希「カップラーメンの専門家、熊倉トシ!」

トシ「すぐおいしい、すごくおいしい。」


優希「アメリカから来たラーメンジャンキー、メガン・ダヴァン!」

ダヴァン「お湯入れて2分20秒がマイフェイバリットでス」


優希「その辺歩いてたラーメン好きの女の子、高鴨穏乃!」

穏乃「実はうどんのほうが好きなんだけど……」



優希「ラーメン三銃士の手にかかれば、あっという間に看板メニュー間違いなしだじぇ!」

(大丈夫か)


優希「とりあえず、普通のラーメンとタコスラーメン食べて、意見を言ってほしいじぇ」

ダヴァン「フンフム。ではタコスラーメンとチャーシューメンをくだサイ」

穏乃「私も同じのをお願いします!」

「あいよ!」

トシ「済まないけど、沸かしたお湯はあるかい?」

(えっ?)





「ヘイ、お先にチャーシューメン二つお待ち!」

穏乃「わー、美味しそう!いただきます!!」

ダヴァン「いただきマス」

トシ「さて、じゃあ今日はこれにしようかねえ」ベリベリ


穏乃「うーん、もぐもぐ」チュルル

ダヴァン「ラーメンは音を立ててすすってこそデス」ズゾゾゾゾゾ

トシ「蓋止めのシールは結局役に立たないことが多くて嫌になるよ」コポコポコポ


穏乃「ごちそうさまです!」

ダヴァン「このラーメンは、なかなかでシタ。72点といったところでショウか」

トシ「3分って結構待ち長いねえ」


「じゃ、こっちがタコスラーメンだ」


穏乃「うーん、見た感じは彩り綺麗で悪くないですね」

ダヴァン「普通においしそうに見えマスけど……」

トシ「さて、そろそろベストタイミングかね」

優希「…………」ドキドキ


穏乃「ま、まずくはないと思いますけど」ハフハフ

ダヴァン「おいしいとは言えませんネ」ゴクゴク

トシ「フリーズドライを考え付いた人は天才だね」ズゾゾ


優希「どうだった?」

穏乃「うーん、ちょっと考えたんですけど、チーズです!チーズが台無しにしてるんだと思います」

ダヴァン「あとは、サルサソースのタバスコがマッチしてないと思いまシタ」

トシ「え?いつも通りの味だったよ。変わらない味が魅力だからね」

穏乃「その他は、特に問題ないと思います。チーズを取り除いてみてください!」

穏乃「ひき肉は、意外とラーメンにあってたと思いますよ」

ダヴァン「そうですネ、辛味を出すのはタバスコの代わりに中華になじみ深いラー油を使ってはいかがでショウ」

穏乃「あっ、それいいですね!」


「なるほど……」


穏乃「じゃあ、チーズを抜いた分トッピングに白髪ねぎを乗せましょうよ!」


「よし、じゃあそれでやってみるか」





優希「おいしいじぇ~」ズルズル

穏乃「完ぺきですね」ズルズル

ダヴァン「これなら大人気間違いありまセン」ズルズル

トシ「さて……年寄りにラーメン2杯はきついから、そろそろお暇するよ」


優希「じゃあね~!」ブンブン

トシ「またね」


穏乃「いやー、こんな素敵なラーメンが生まれるなんて思いませんでしたね」

優希「まったくだじぇ」

ダヴァン「タコスとラーメンの完全な調和、両立。まるで二盃口のような美しさでス」






穏乃「……でも」

優希「これって」

ダヴァン「完全に」


「「「担担麺ですね(だじぇ)(でス)」」」




優希「くそう、これもラーメン三銃士が2人になってしまったせいだじょ」

穏乃(そうかな…………)


優希「しょうがない、新生ラーメン三銃士を連れてくるじぇ!」ダッ






優希「おまたせしたじぇ!」

純代「………………」


優希「新メンバー、具のチャーシュ」
純代「フンッ!」ゴッ



優希「」ピクピク


京太郎「おーい、何やってんだゆーき」

優希「む!?この匂いはタコス?」ガバッ


京太郎「ほら、しばらく忙しくて作ってやれなかっただろ?」

優希「きょうたろぉ~~~!」

京太郎「おいおい、あんまりがっつくなよ。ソースついてるぞ」

優希「やっぱりラーメンとタコスは別々に食べたほうがおいしいじぇ!」


「…………」


穏乃「帰りましょうか」

ダヴァン「そうデスね、せっかくデスから今度東京に来ることがあれば名店をご案内しまス」

穏乃「本当ですか!?冬休みに絶対行きます!」

ダヴァン「ラーメン好きに悪いヤツは居ないってハオも言ってまシタ、みんなでいきまショウ」

穏乃「はい!」





純代「チャーシューメン、大盛りで一つ」

「……あいよ」


結局このあと花田に連れられて長野旅行に来ていた哩と姫子の指導でラーメン屋は大繁盛したとかしてないとか



※この記事は書け麻記事です!